ニュージーランドの生活



 
長いことお待たせいたしました。

今日に至るまで、とにかくいろんなことがありました。
とりあえず、どんな状況かがわかる程度に書きました。詳細は別のページでご紹介します。

現在、私が滞在しているところは、ニュージーランド北島、北部に位置するWhangareiというとても辺鄙なところである。Auckland国際空港からWhangarei空港まで行く飛行機はあまりに小さく、12人で満席(そのように思えた)というかなり小型のものであった。上空から見える景色は、緑色に広がる丘と所々に存在する民家。Whangarei空港は、今まで私が旅行した中でも一番といっていいくらい小さくていいかげん。マレーシアかつてのランカイウイより島も、フィリピン、ボラカイ島よりも。

空港でステイ先のホストファミリーが待ち構えていた。ホストマザーのリンダはとても40代中ごろのおおらかそうな明るい人。ホストファザーのマイクは、グレーの口ひげを生やしたダンディ(というには早いか?)な人。Hiと挨拶しつつ、さりげなくウィンクするところなんかやはり異文化を感じてしまうなー。

いきなり車に乗って、そのままお家へ直行。見える景色は、小さなハーバーとなだらかな丘、南国を思わせるような森林、パームツリー、牧場、牛、牛、牛。そう、牛なんだよー!もう、牧場が真っ白になるくらいうじゃうじゃとがいると思ったら、牛なんだよーーー。なんでかなー。しかも、ここの牛は、顔が白いんだよー。体が茶色で顔だけ白いの。人面牛みたい。そのくせ、「モー」とかなくんだよ。コンデンスミルクの缶の牛くらいカワイイとよいのだけれど、すごく醜いの。モー、じゃなくて、ブヒって感じ。

お家のダイニングには大きな窓があって、そこから美しい景色を毎日楽しむことが出来る。何が見えるかって、彼方まで広がる丘、丘、丘。その向こうには、低くどこまでも横に広がっている雄雄しい緑茂る山。丘には牛の群れがところどころに見える。窓から見える景色は、朝と昼と夕方と夜とで表情を変える。朝は日の出。夜は月夜。時々、丘に低く霧がかかっていることがあって、それはさながら一晩で巨大な湖でも出来てしまったかのように見える。巨大な霞の湖から、所々に松のてっぺんが飛び出している。夕方には、大きな虹を根元から見ることが出来る。とにかく静かで、町の灯りなんかどこにも見えない。

到着日の翌日から学校が始まった。

学校の風景は、全体的に"仮小屋"感が否めない平屋造りの校舎がところ狭しと建っている。中庭にはベンチがあって、休み時間になると学生がぞろぞろ出てきて、日向ぼっこをしている。校舎の外側は広い庭になっていて、芝生が青々としていて美しい。つい、踏み込むのをためらってしまうが、特に立ち入り禁止というわけではない。広い庭の向こうには図書館があり、学生は自由に書物を閲覧できる。

現在、関西外語短期大学とかいうところから、たくさんの不思議な女の子たちが体験留学に来ている。みんなおっとりとした関西弁を話し、初めての海外生活を楽しんでいるようだ。最近、よくその子たちから、就職のこととか恋愛のこととか相談される。毎朝、違う女の子が入れ替わり、立ち代りやってきては、何か相談していく。

私の家は、他の人に比べてとても遠いところにあるので、車なしでは学校がえりにどこかへ行くということが出来ない。学校で家族の迎えを待たねばならないのだ。町のことをあまりよく知らないうちは、何をしていいのかわからなかったので、とりあえずお家に帰ってビールを飲むのが習慣となる。

「ここでは女性は何でかしらないけどビールは飲まないんだよ」

とホストファザーは言うが、「へぇ...」などと曖昧な返事でごまかし、ビールを飲みつづける。そのうち足りなくなってきたので、リンダに頼んで、学校の帰りに酒屋へ寄ってもらう。ビールを半ダース、シェリー酒、ラム酒を購入。大人の証明を要求されるかと思ったが、レジのおじさんはすんなりブツを渡してくれる。おかしいな。これでも若く見られるのに。その後、学校の女の子に「さすがに未成年には見えないよ」と言われた。それもそうか。

この酒購入の出来事は、瞬く間に隣人に知れ渡り、週末には隣人が私を拝みに来た。私の顔を見るなり、「ビールはうまいか」とか「酒を飲みすぎるな」とか「俺はたくさん飲める」とか喋り捲り、突然立ち上がり、疾風のごとく走り去っていった。私がきょとんとしていると、マイクが「彼は何かをしておらずにはいられないんだ」とため息混じりにつぶやいた。彼に目をやると全力疾走でこちらに戻ってくる。このガイジン、ちょっと怖い。筋肉ムキムキだしさー。するとマイクは言った、「彼はミルクのテイスターなんだよ」 え、なにそれ。ミルクの味をテストするってこと?「毎日ミルクの味をチェックしているんだ」........まさにプロテイン男だったわけだ。

そんな毎日を繰り返し、ついに町にデビューすることが出来た。
学校がえりに50分かけて町まで歩いたのだ。暑かったので、カフェでビールを飲む。未成年じゃないよ、という証明を用意していたが、何も提示を求められなかった。やっぱり28歳が19歳に見えるわけないかー...。

町はこじんまりとしていて、イギリススタイルのかわいらしい建物が並んでいる。この町では一番大きなスクランブル交差点に、なぜかいかがわしいランジェリーショップが建ち構えている。あのように刺激的なランジェリーを、この町のおばはんたちが着るとはとても思えない。小さなショッピングモールにはマクドナルドや洒落たオープンカフェ、本屋、薬屋、メガネ屋、美容室、その他いろいろな店が入っている。このショッピングモールの本屋では、一番ハンサムな末息子が働いている。

アメリカと違って、カフェでは紙やプラスティックの皿は出てこない。必ずちゃんとした食器で出てくる。しかし、隣り合わせのマクドナルドでは、やはり紙コップ、紙の皿だ。思わずアメリカとヨーロッパ文化の違いを感じる。

ちなみに、町では中華料理や韓国料理はあっても、日本料理はない。アジア系食物屋も町に一軒あるけれど、韓国からのものが主流なようだ。でも、みりんが置いてあったのには驚いた。学生が好んで買うのは、インドネシアから輸入しているインスタントラーメンとのこと。激辛で美味しいのだそうだ。私はそこでおつまみように、韓国海苔を買いました。とってもおいちいの。
 


 
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